~柔道はあの柔道です。歴史があります~
柔道整復という聞き慣れない言葉について知るには接骨の歴史をお話しするのが近道かと思います。
柔道整復術の意味合いは「接骨」や「整骨」とほぼ同義なのですが、なぜ「柔道」なのかというと、もともと柔道や武道において脱臼や骨折がつきものだったため、その治療方法も同時に発達したのでした。これを「活法」といいます。今日みなさんに馴染みのあるあの柔道は「殺法」といいます――古来武道の達人は活法殺法どちらも極めた人のことを言いました。
武道の活法として柔道整復術は完成に至るのですが、ただし、江戸の世までは「接骨師」という呼び名が一般的でした。状況が変わるのは明治に入ってからです。
明治政府が西洋化を推し進めた影響で、整骨や鍼灸といった伝統医学は絶滅の危機に瀕することになります。その状況を打開すべく立ち上がったのが柔道家中心だったため、法律や資格においては「柔道整復」の名が残りやすくなったというわけです。
実は太平洋戦争敗戦によって柔道整復術は再び窮地に陥るのですが、その時も再び事なきを得ます。その紆余曲折に興味がある方は「柔道整復 GHQ 歴史」で調べてみてください。
何にせよ「柔道整復術」の名称は、日本の伝統医術がしぶとく生き残ってきた証といってもよいかもしれません。